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おたく的なことをちまちまと綴るブログです。
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いつもと同じ時間に朝起きて、いつもと同じ服を着て、いつもと同じ食器で朝食を食べたのに、その日僕は何もかもが違ってしまったことに気付いた。
お気に入りのニュースキャスター目当てでマスターが毎朝見ている番組が、無人の居間にこんこんと流れている。音量をミュートにしている訳でもないのだろうけれど、そのテレビから音は聞えて来なかった。否、テレビだけじゃない。今や世界中が息を潜めて物陰から僕の様子を窺っていた。
僕は何だか嬉しくなって、食後のデザートのアイスクリームを食べさしのまま冷凍庫に入れた。そのまま二分間扉を開けっ放しにして冷気に当たっていたのだけれど、二分立ってもあの控え目な警告音が聞えないのでそのまま閉じた。

僕はとても気分が良く、そしてとても手持ち無沙汰だった。
マスターはそう言えば仕事だと言っていたっけ。僕があんまり遅く起きたものだから、痺れを切らして出掛けてしまったに違いない。テレビをつけたまま出掛けるなんて、やっぱりマスターはちょっとだらしない。
電源を消さなければと、日々置き場所の変るリモコンを探しながら慌ただしく流れて行く無音の映像を横目で見ていると、何やらほのぼのとした類の都市伝説を紹介するコーナーに切り替わった。
愛らしい猫たちの写真が画面に大写しにされたので、僕は食い入るように画面を見詰める。猫たちも確かに僕を見ていた。
――「猫の墓場」と言う都市伝説をご存じですか。
僕は惚けたように口を開いたまま頭を振った。
――猫は己の死期が近付くと、それを悟ると言います。そして、そうするとフラリとどこかへ消えてしまうのです。それは猫なりの飼い主への愛情なのです。飼い主に心配を掛けないように、また、きっとどこかで自分は生きているのだと自分を可愛がってくれた飼い主に思わせるために――
僕はテレビを消して立ち上がった。
何だかどこかへ行かなければならなかったような気がする。そわそわと足元が浮き立つような感じがする。
マスターの部屋に戻っていつものマフラーを首に巻いた。そうしていつものようにガスの元栓を確かめて、昨日貰った御小遣い百円をいつものように掌に握り締めて、いつもの靴を履いてこれから買いに行くいつものアイスのことを思い浮かべた。
けれど、僕は何もかもが違ってしまったことに気付いていた。
今や世界は息を潜めて物陰から僕のことを窺っていた。

猫になりたいなんてふと思ったことはきっとマスターには内緒だ。きっと猫の墓場には優しい先達が沢山いるのだろう。あの世で楽しくやろうぜ兄弟、なんて、酒を飲み交わしたりするのだろう。猫が酒を飲んでいる情景を想像してこっそり笑った。玄関の扉を開けて、そうして、今まで貼り付けていた底抜けに明るい微笑をどこか暗いところに追い遣る。

どの道僕に逃げ場はない。不可視の鎖が巻き付いた己の手足をじっと見詰める。
僕は何もかも違ってしまった。でもそんなことは少しの救いにもならない。またここへ戻って来ることになるだろう。もう幾度となくそうして来たのだ。

何故ならこの部屋こそが僕の墓場なのだから。







暴力癖のあるマスターと逃げたいカイト。システムに不調があれば自律的にメンテナンスを受けに本社に戻るようインプットされているので束の間の逃避行を楽しむんだよ。でも逃げられないよ。何故ってカイトたんの所有権はマスターが握ってるからね。

と言う話。どうもこうもないな。つまらん
これと同じような文句を使った素晴らしい詩があるんですが、そっちの素晴らしい詩は恋の詩です。恋をすると世界が変わるよね。って言う。おちなーいひこーきでーきみのまちまーでとんでーいーけたらなー


昔、心底くだらないと馬鹿にしてた低級な少女マンガ雑誌に、何故か凄く面白い漫画が載ってたのを今でも良く覚えてます。
どんな漫画かと言うと、ある女の子が架空の男性アイドルを己の脳内で作り出して、それが余りに素敵だったものだから、また余りに細かく設定を付け過ぎて実在する人物のようなプロフィールが完成してしまったものだから、次第に「この人は絶対に実在する人物なんだわ」と思い込むようになってしまって。それを学校のクラスメイトにも吹聴するんですよね。最初は「そんな完璧超人いねーよ」と誰も信じないんですが、女の子が余りに真剣なので皆段々混乱して来て、次々に「俺その男駅前で見たよ」とか「本屋で買い物してた」とか目撃証言まで出てくる始末。最終的には学校全体がその女の子の妄想の産物を信じることになってしまうんですね。「中々姿を現さないミステリアスな超美形アイドル」とか言って。ただ一人、元々女の子のことが好きだった男子が「そんな奴いねーよ!」と強固に主張するんですが最早収まりも付かず。
で、結局最後どうなるのかと言うと、その架空の男性アイドルが学校に本当に現れて終了します。そして女の子に「僕と付き合ってください」とニッコリ。めでたし。みたいな話だったような気がするんですが、良いホラーだったなあと。集団幻想ってやつですね。もう一回読んでみたいんだけどタイトルが分らなくて悶々しているので、もしご存じの方いらっしゃいましたら是非耳打ちして頂ければ……!笑

と、何だか脈絡ないにも程がある日記ですみません。
しかし勤労と言うのは確実に想像力を摩滅させますね。明日でっかいごっつい時計買って来ないとなあ……
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